Veoは、2024年9月16日にiOS版Veo Cameraアプリのアップデート、バージョン3.3.0を公開しました。
設定メニューを中心に、比較的大きな修正が見られるバージョンアップとなっています。
その中で、当サイトが注目したのは、APN設定が可能になっていることです。これこそ、当サイトのVeo Cam 2のレビュー内でも要望していた機能です。
APNとは、アクセスポイント名(Access Point Name)のことで、機器がインターネットに接続するために、どこに接続するかを設定するものです。スマートフォンやタブレットでは、設定メニューの中にAPN設定を行う項目があり、この項目に必要な情報を入力していくことで、予め登録されていない通信事業者のSIMカードも利用できるようになります。
そのため、VeoでもAPN設定ができるようになったことで、SIMカードが利用できるようになったのではないかと、期待できるのです。
早速、いくつかのSIMカードでAPN設定を試してみました。
今回のレビューの環境は以下の通りです。
また、用意したSIMは以下の通りです。
いずれも形状は【nanoSIM】になります。
Veo Cameraアプリのバージョン3.3.0では、設定画面が大きく変わり、「一般」とまとめられたメニュー項目が増えています(下図)。
本題ではありませんので、このレビューでひとつひとつ説明することはしません。
「カメラ」とまとめられたメニュー項目の中に「接続」があります(上図)。
この「接続」をタップすると、SIM、Wi-Fi、イーサネットと、各接続方法での状況が表示されます(下図)。
この中から、「SIM」をタップすると、これまでは、プロバイダとIMEIの表示だけでしたが、その下にApnという項目が追加されています(下図)。
この画面から、SIMカードを差し替えて、APN設定を行っていきます。
mineo(マイネオ)は、オプテージ(Optage)が提供する格安SIM・携帯通信サービスのブランドです。大手キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)の回線を利用して、手頃な料金でスマートフォンやタブレット向けのデータ通信や音声通話サービスを提供しています。
今回、試したのは、ドコモの回線を利用したDプランになります。
そのため、Veo Camに挿入すると、Veo Cameraアプリからはプロバイダ「NTT DOCOMO」と認識されます(下図)。
「デフォルト」をタップすると、上記のような表示となり、「Connection」の項目が【オフライン】とあるように、SIMカードは認識しているものの、インターネットに接続されていないことが分かります。
さらに、画面下方に「カスタム」という表示があり、ここで独自の設定が行えそうです。
「カスタム」をタップすると、3つの入力項目があるフォームが表示されます(上図)。
プレースホルダーは「ブロードキャスト」「ユーザー名」「パスワード」となっています。
この中では、「ブロードキャスト」が分かりにくいですが、APNと推測して入力してみます。
mineoのAPN設定は、同社のサイトにネットワーク設定方法として分かりやすく記載されています。
mineoのネットワーク設定方法には、この3つの他に「認証方法」という項目もありますが、該当する入力箇所がないため、とりあえず無視して、保存してみます。
元の画面で「Connection」の項目が【3G】と変わっています(上図)。
画面上方のカメラ名下の矢印をタップして、ステータスを表示すると、こちらでも一番上の「カメラ接続」という項目が【3G】となっています(上図)。
1つ前の画面に戻ると、「SIM」の下に回線速度を測定する「スピードテスト」のリンクが表示されるようになりました。
スピードテストを試したところ、緑のゲージは1つだけですが、【信号OK】との表示になりました。
ライブ配信が可能なインターネット接続ができているようです。
povo2.0は、KDDI(au)が提供するサブブランドのモバイルサービスです。月額基本料金が0円で、必要なデータ通信や通話オプションを「トッピング」として自由に追加できる柔軟な料金体系が特徴です。
povo2.0も、同社のサイトにAPN設定の入力内容は記載されています。
その通りに入力して、保存をタップします。
povo2.0では「Connection」の項目が【5G】と変わりました(上図)。
ステータスも【5G】となっています。
ただ、スピードテストを試してみたところ、ライブ配信には回線速度が足りないという表示になってしまいました。
Softbankは、大手キャリアが提供している通信サービスとしては、珍しくデータ専用プランを残しています。
同様に、サイト上に記載されたAPN設定を入力し保存します。
しかし、「Connection」の項目は【オフライン】のままとなっています。
メニューにスピードテストが表示されることもなく、インターネットには接続できていないようです。
すでにサブスクリプション契約を解除してしまったVeo Cam 2が手元にありましたので、SIMカードを認識するか、同じ手法で確認してみました。
mineoのDプランは、【4G】として認識されました。
スピードテストの結果もOKです。
povo2.0も、【4G】として認識されました。
Veo Cam 2は4Gまでのサポートですので、5Gとならないのはそのためでしょう。
スピードテストの結果もOKとなりました。
Veo Cam 3 5Gでの結果とは異なりますが、4G接続の方が回線が安定しているということかもしれません。
SoftbankのSIMは、Veo Cam 2でもオフラインのままでした。
また、Veo Cam 2のファームウェアがバージョン3.1.4と古い時点では、アプリが新しいバージョン3.3.0でも、APN設定の画面は表示されませんでした。
今回のAPN設定には、ファームウェアの方もバージョン3.1.8へのバージョンアップが必要なようです。
実際にライブ配信が行えるのか、試してみました。
スピードテストの結果が、もっとも安定していた、Veo Cam 3 5Gとmineoの組み合わせです。
上図のように、問題なくライブ配信の画面を進めることができ、Veo Liveでのライブ配信を開始することができました。
管理画面側では、このように表示され、回線速度は十分でないものの、配信を行うことができていたことが分かります。
配信先をVeo Liveではなく、YouTubeにした場合でもライブ配信は可能でした。
今回のバージョンアップにより、日本国内でもSIMカードによるライブ配信が可能になったことを確認できました。
Veo Cam 2の登場から2年余り、当サイトでレビューを公開してから1年半以上経ってからの対応でしたが、実現されたことは感慨深いものがあります。
とはいえ、今回のテストでも、SIMカードで通信できたものの、接続する度にアプリ上の表示が変わったり、回線速度が安定しないなど、不安定な挙動が見られました。
この辺は、テスト時のカメラの設置場所も含めた電波環境などにもよるかもしれませんので、実際に利用するグラウンドレベルでの実績の積み重ねが必要になるでしょう。
また、SoftbankのSIMが利用できなかった理由は、今のところ不明です。
APN設定の方法が間違っているのかもしれませんし、そもそもSoftbankの回線がサポートしている周波数帯や通信方法が、Veoと異なっているのかもしれません。
そうした周波数帯の違いは、国ごとに定められており、スマートフォンでも問題になることがあるため、サポートしている周波数帯を公開することも珍しくありません。
実際に使える状況になった以上、Veoにはそうした関連情報を是非公開して欲しいところです。
それでも、これまで使えなかった機能が使えるようになったことは、喜ばしく、大きな一歩です。
今後は、上記で指摘したような動作の安定性やサポートの範囲が、ファームウェアやアプリのバージョンアップで改善されることがあるようであれば、期待していきたいところです。
なお、当サイトでは、フォーラムの中にSIMカードのカテゴリを作っています。
ここでは、日本国内で利用できる/できないSIMカードの情報交換をしていきたいと考えています。
ご協力頂ける方は、是非お願いします。