Veo Camの新モデル、Veo Cam 2のレビューを行っていきます。
結論から申し上げると、2023年1月現在、手元の環境ではSIMカードを使ったライブ配信は実現していません。
Veo社が公開している、国別の通信事業者の一覧に「日本(Japan)」は表示されていません。早晩、アップデートで実現できるようになると期待し、これまでレビューも保留しておりましたが、Veoに関心を持つ方が増えている状況から、この時点でのレビューの公開とします。
以下のレビューは、Veo Cam 2本体のソフトウェアのバージョンが1.5.0、スマートフォン側のVeo CameraアプリはiOS版の2.12.0となっています。
Veo Cam 2でライブ配信を検討する場合、どの通信事業者を選ぶか、がポイントとなります。
利用できるか否か、は別にして、ポイントは「通信速度」と「通信プラン」になります。
通信速度は、Veo社では上り(アップロード)速度として6〜7Mbpsが必要としています。
もっとも、この通信速度は利用する場所や時期によって異なりますので、実績を積み重ね、情報を共有していくより他に、事前に評価することは難しいと言えます。
通信プランに関しては、利用頻度を想定して検討する必要があります。
2023年現在、日本の通信事業者は月々の通信量をベースにした料金体系のプランを用意しています。
Veo社では、解像度別に110分間、ライブ配信した場合の通信量を公表しています。
この数字から、月々の試合数を想定し、その通信量を推定し、適切な通信プランを選択する必要があります。
毎週のように試合を行うようなチームであれば、よりデータ量の大きい50GBや60GBのプラン、もしくはデータ量無制限プランを検討すべきでしょう。
逆に月に1、2試合というチームであれば、データ量の小さい数GBのプラン、もしくは基本を最小限にして必要に応じてデータ量を追加できるプランが検討できるでしょう。
また、スマートフォンと共用せず、Veo Cam 2のみで利用するのであれば、音声通話やSMSといった機能は必要ありません。データ通信専用というプランでも構わないでしょう。
なお、SIMカードの形状は「naoSIM」というものとなります。購入する際、もしくは現在使っているスマートフォンのSIMカードを流用する際は、きちんと確認しましょう。
レビューのために、各社のサービスを検討したところ、Veo Cam 2の利用に適していると考えたのは、次の2つです。
povoは、KDDIが2021年3月に開始したサブブランドです。
2021年9月には、料金プランなどを大きく変更し、ブランド名を「povo2.0」と変更しています。
最大の特徴は、基本料金が0円であることです。通信速度128kbpsであれば、基本料金内で通信量も無制限です。
さすがに、この通信速度では、Veo Cam 2でライブ配信を行うことはできません。
そこで、povo2.0では、トッピングという、高速データ通信を必要に応じて追加できる有料オプションを用意しています。
トッピングの多くは通信量に応じたものですが、「24時間データ使い放題 300円」というものもあります。試合数が少なく、利用機会が限られる場合は、こうした選択肢が助けとなるでしょう。
ソフトバンクが提供するデータ通信専用のプランです。
月の通信量50GBのプランで基本料月額4,800円(税別)、3GBのプランで基本料月額900円(税別)で提供されています。
3GBのプランでも、時間内のデータ使い放題のオプションが用意されており、1時間100円から、利用する直前に申し込むことが可能となっています。
週末に1、2試合をVeo Cam 2でのライブ配信に利用するのであれば、6時間300円もしくは12時間400円(いずれも税別)のオプションが選択肢となるでしょう。
新規契約でSIMカードを入手した場合、最初に開通作業を行う必要がある場合があります。
開通作業の手順は、通信事業者によって異なりますので、取扱説明書などで確認してください。
【povoのSIMカード】
【SoftBankのSIMカード】
その上で、一度スマートフォンにSIMカードを挿して、SIMカードを認識させ、正しく通信できることを確認しておいた方が良いでしょう。
Veo Cam 2には、底面のSIMカードスロットにカードの向きに注意して差し込みます。
作業は本体の電源を切った状態で行いましょう。
本体に印刷されているように、角が欠けている側を合わせれば問題ありません。
カチッと外れないように深く差し込むためには、マイナスドライバーなどを使った方が良いかもしれません。その際、カードを破損しないように気をつけましょう。
Veo Cam 2にSIMカードを差し込んだら、電源を入れ、スマートフォンのVeo Cameraアプリを立ち上げます。
Veo CameraアプリからVeo Cam 2に接続し、設定画面を開きます。
「Internet service」を選択します。
上の「Internet connection」の下に薄く「KDDI」という文字が見えます。
povoはKDDIのサブブランドですので、この表記は誤りではありません。
ひとつ前の設定画面に戻って「About」を選択します。
SIMカードが認識されていることは、この表示からも確認できます。
ただ、インターネット通信は行われていないようで、「Internet service」画面下の「Run speed test」ボタンをタップすることはできません。
ソフトバンクのSIMカードでも同じ表示となりました。
なお、上記で紹介した2つのプランに加え、Docomo回線を使ったmineoのSIMカードでも同様でした。
日本国内の主立った3社の回線で同様の結果となったこと、格安SIMと呼ばれる、MVNOだけでなく、メインブランドのサービスでも変わりはありませんでしたので、ほぼ日本国内のSIMカードは利用できない状態にあると判断します。
現状、日本国内でVeo Cam 2のライブ配信機能を利用するには、WiFiか有線LANでインターネット接続する必要があることになります。
もし、問題なく利用できたというSIMカードの情報があれば、お寄せ下さい。
フォーラムにカテゴリを追加しておきます。
残念ながら、レビューとしてはここまでとなります。
もっとも、Veo Cam 2が日本国内のSIMカードで使用不可能ということではない、と考えています。
通信事業者の多くは、SIMカードの設定方法として、APN設定を取扱説明書やWeb上で公開しています。
APNとは、アクセスポイント名(Access Point Name)のことで、機器がインターネットに接続するために、どこに接続するかを設定する必要があります。
Veo Cam 2が、日本国内のSIMカードでインターネット接続できていないのは、この設定が不足しているのではないか、と推察しています。
日本国内で販売されているスマートフォンの多くは、この各社のAPN設定を予め登録した状態で出荷されており、SIMカードを挿せば、APN設定も自動的に行いインターネット接続できるようになっています。
Veo Cam 2も、日本国内の通信事業のAPN設定を登録した状態で出荷される、もしくはアップデートされれば、日本国内のSIMカードでインターネット接続できるようになる可能性があります。
また、スマートフォンやタブレットでは、設定メニューの中にAPN設定を行う項目があり、この項目に必要な情報を入力していくことで、登録されていない通信事業者のSIMカードも利用できるようになります。
Veo Cameraアプリにも、APN設定を行うメニューを追加し、Veo Cam 2にAPN情報を登録させることは、ユーザーの手間は残るものの、先の方法よりも難しくないと考えられます。
実際に、Veo Cam 2発売以降、通信事業者が端末のセキュリティ強化サービスなどで必要とするIMEI番号が表示できるようなアップデートも行われました。
今後もアップデートを重ね、早く日本国内でSIMカードでのライブ配信ができるようになることを願っています。