2024年2月22日(現地時間)に開催されたオンラインイベント、”Mastering Moments”の中で、Veoは、Veo Cam 2で実現しているライブ配信を、自社のVeo Liveだけでなく、ソーシャルメディアを含む外部配信サーバーに開放することを発表しました。
程なくして、この機能が利用できるようになりました。
今回はこの機能を使って、Veo Cam 2からYouTubeへのライブ配信を試してみます。
なお、ライブ配信はVeo live-streamingオプションを契約していることが条件となります。
Veoの管理画面の左メニューから「Veo Live」をクリックして、Veo Live画面に移動すると、新たに「Streaming Destinations」というタブが表示されます。
ここで表示される「Veo Live」以外のボックスがソーシャルメディアを含む外部配信サーバーの設定になります。
「YouTube」ボックスの「Setup」ボタンをクリックすると、設定画面がポップアップします。
ここで入力する項目をYouTube側で確認してみます。
YouTubeにログインし、配信したいチャンネルのページ右上の「作成」アイコンをクリックし、ポップアップメニューから「ライブ配信」をクリックします。
ポップアップ画面が表示された場合は、「今すぐ」の「開始」ボタンをクリックします。
さらにポップアップ画面から「ストリーミングソフトウェア」の「選択」をクリックします。
YouTubeの配信設定画面の画面下方に「ライブ配信の設定」という項目があり、「Default stream key(RTMP、可変)」という項目があります。これをveo管理画面のYouTubeボックス内に入力します。
なお、配信設定画面右上の「編集」ボタンから配信コンテンツのタイトルやカテゴリ、公開範囲などの変更をすることができます。
ストリームキー項目の脇の「コピー」ボタンをクリックして、Veoの管理画面のYouTubeボックス内の「Stream Key」欄にペーストします。
最後に「Confirm」ボタンをクリックすると、事前準備は完了になります。
撮影時の手順は、これまでと大きく変わることはありません。
Veo Cameraアプリでカメラと接続し、撮影の準備を行います。
「Liveに進む」ボタンをタップして、次の画面に進みます。
対戦チームを入力し、ピッチサイズを選んで「次へ」をタップします。
この画面で、プラットフォームからYouTubeを選択し、「次へ」をタップします。
利用規約が表示されますので、一番下までスクロールして「一度だけ受け入れる」もしくは「応答を受け入れ、記憶する」をタップします。「応答を受け入れ、記憶する」を選ぶと次回からは表示されません。
確認画面で「スワイプしてLiveに進む」をスワイプすると、録画とライブ配信が開始されます。
「ライブストリーミングを停止する」をタップすると、配信は終了となります。
配信を終了すると、YouTube側では、視聴回数のサマリが表示されます。
今回はテストとして短時間でしたが、通常の試合でも、十分に利用できるものと考えられます。
ただし、続けてもう1試合をYouTubeでライブ配信しようとすると、改めてYouTube側の設定をする必要があり、その設定をしないとアプリ側でストリームキーを求められました。
1日に複数試合をライブ配信するならば、YouTube側の設定ができる環境と機材を用意する必要がありそうです。
以上、Veoが公開したソーシャルメディアを含む外部配信サーバーへのライブ配信機能を使って、YouTubeでのライブ配信を試してみました。
懸念点としては、レビュー内で述べたように、複数試合をライブ配信する場合を始めとして、タイトルや公開設定など、YouTube側で設定する作業が挙げられます。
そのため、配信内容や設定の確認と修正作業を行うことのできる、パソコンなどの機材や通信環境が揃っていること、また、そうした作業を担当する人員が必要でしょう。
グラウンドレベルでスマートフォンしかなく、選手なり監督なり試合に向けて役割がある人には、なかなかハードルの高い作業と言えます。
また、ライブ配信の映像に、試合時間や得点の表示といったものはありません。
そういうものだと了解している視聴者に向けての配信であれば許容されるでしょうが、要望はありそうです。
2024年2月現在、Veoが公開したソーシャルメディアを含む外部配信サーバーへのライブ配信機能は、シンプルな設定で実現しており、ほぼ映像データを流すだけといったものと言えます。
今後は、Veo Cameraアプリから、YouTubeのタイトルの変更や公開設定の変更が行えるようになってほしいところです。
さらに、現状のVeo Liveのように、チームエンブレムやバナーを表示したり、Veo Liveアプリだけで試合時間や得点経過表示の操作もできるようになれば、かなり使い勝手のよいサービスになることでしょう。
Veo Cam 2でライブ配信に対応したVeoですが、ここへ来て、ライブ配信に対する変化も感じられます。
Veoでは、当初からライブ配信を中小クラブの付加価値を高め、収益をもたらすものとアピールしていました。
そのために、サポーターからどれだけライブ配信の視聴料を得られるのか、それは都度課金(ペイパービュー)がよいのか、月額課金(サブスクリプション)がよいのか、いくらくらいが妥当なのか、アンケートなどを通して、検討を重ねていたと考えられます。
言ってみれば、VeoはVeo Liveというサービスで、スポーツ分野に特化したYouTubeになろうとしていたと考えられるのです。
しかし、収益の仕組みがVeo Liveに実装され、一般に公開されることは2年以上経った現在でも実現していません。
一般に公開されたのは、画面上にチームエンブレムやバナーを表示する仕組みだけです。
バナーに広告を入れれば収益源になるとはいえ、その課金の仕組みやバナー広告を出稿してくれるスポンサーとのマッチングの仕組みがあるわけでもありません。
一方で、クラブの側も、いくつかのタイプに分かれます。
これまで、映像コンテンツを経営に活用していなかったクラブにとっては、簡単に収益が得られる仕組みがなければ、新たな費用をかけてVeo Liveを導入する理由がありません。
逆に、映像コンテンツの配信に積極的なクラブは、すでにYouTubeなどのプラットフォームでチームのアピールを行い、サポーターを増やし、収益に結びつける活動を行っています。
そうしたクラブにとっては、あえて複数のプラットフォームで映像コンテンツを配信することに、メリットを見出すことは難しいでしょう。
こうした流れからすると、今回のVeoの判断は、自前主義からオープン戦略をとることで、まずはライブ配信機能を利用してもらおうという、苦渋の決断であったように見えます。
もっとも、このままVeo Liveというサービス自体が無くなることもないと考えます。
2022年11月、Veoはスウェーデンサッカー協会と提携し、スウェーデンサッカー協会のアプリで協会傘下の試合のライブ配信を行える仕組みを提供すると発表しています。
この取り組みがうまく進んでいるならば、連盟や大会主催者のレベルで導入を検討できるB2Bのライブ配信ソリューションとして、Veo Liveは残っていくのでしょう。
Veo全体の製品とサービスの戦略の中で、ライブ配信をどのように扱っていくのか、今後もVeoの動きには注目していきたいと考えています。