Veo Camera ユーザーレビューブログ

Veo Analytics βレビュー

2021年8月のVeo Cam 2の発表と同時に、クラウドサービスも新機能が発表されました。
その目玉となる、分析サービス、Veo Analyticsが利用できるようになりましたので、早速、試してみました。
なお、2021年11月現在、Analyticsサービスはβ版となっており、発表されているすべての機能が利用できるようにはなっていません。

概要

Veo Analyticsは、Veoのクラウドサービスの有料オプション(月額€10、年間一括支払い)として提供されています。
申し込みを完了した以降に撮影した試合映像をアップロードすると、管理画面は下記のようになります。

これまでなかったメニューや表示内容(赤枠)が増えていることに気付くでしょう。
なお、Analyticsの対象となるのは、新規にアップロードした試合映像に限られ、既存の映像を分析することはできません。

Rader view

管理画面の左上、試合映像に重なる形で表示されているのが、Rader viewです。
映像の中のプレーヤー、審判の位置を検出して、ピッチ内の位置をプロットしたものです。
試合映像を再生すると、映像に合わせて、Rader viewの中のプレーヤーを表すドットも動いていくことが分かります。



プレーヤーは攻める方向によって赤色と水色に色分けされています(審判は黄色)。チームによって色分けしているわけではありません。そのため、前後半で攻める方向を入れ替えると、ドットの色分けも入れ替わることになります。

真上からの映像があるわけではないため、人が重なる場面も少なくない中、このようにプレーヤーの位置を判別しているのは驚きです。
ただ、プレーヤーのチーム判別(色分け)はAIによって行われているようで、まれにプレーヤーの色が変わったりするケースも散見されます。
この辺は、判別の要素としているものがユニフォームの色なのか、プレーヤーの動きなのか、分かりませんが、AIの精度向上を期待するしかないでしょう。

Rader viewの上にマウスオーバーすると、Rader viewの左端にメニューが表示されます。

Rader viewの拡大をクリックすると、試合映像全体に重なる形まで拡大されます。

オプションメニューでは、Rader viewの中に、赤色チーム、青色チーム、審判のいずれを表示するか選択することができます。デフォルトでは、審判は非表示になっています。

実際の使い勝手ですが、まだ精度の問題があるため、この画像のみを見て新たな知見が得られることは少ないかもしれません。
ただ、ある局面、たとえば失点シーンなどで、フォーメーションがどのように崩されていたのか、といった各プレーヤーのポジションの確認については、映像のみよりも分かりやすく、ミーティングの中などで利用できるかもしれません。
また、Veoの特徴である、ボールを中心とした実況中継のような試合映像では、画面の外になってしまう選手のポジションも、Rader viewでは把握できることも重要です。

Match momentum

試合映像の下、タイムラインの一番上に線グラフのように表示されているのが、Match momentumです。
映像の中でプレーエリアが画面の左右どちらに寄っているか、を線グラフで表しています。

メニューとしては、Match momentumを表示/非表示することができるくらいです。

試合の趨勢を可視化したものですので、やはりこれだけで新しい知見を得ることは難しいでしょう。
試合映像を観て、優勢/劣勢、押されている、押し込んでいるといった印象を、説得力を持って説明するといった使い方が適当と考えます。

Heatmap

ハイライトリストの上に表示されている、Analyticsのリンクをクリックすると、Analyticsのメニューが表示されます。
この中で、2021年11月時点で有効となっているのが、Heatmapになります。

Heatmapは、特定の時間帯にチームのプレーエリアがピッチのどこに集まっていたかを色で示したものです。

プレーが集中していたエリアほど暖色から赤に近くなっていきます。逆にプレーがなかったエリアは寒色から青になっています。

Heatmap画面上のセレクターからチームを選び、同画面下のスライダーで時間帯を選択します。

チームの選択はチーム名ではなく、左右(Left/Right)どちらかを選ぶようになっています。
試合の前半と後半ではチームは異なることになりますので、注意が必要です。

時間帯の選択では、スライダーを1分単位で動かすことができます。
上記のチーム名の選択にあるように、前半(後半)開始と前半(後半)終了を含むように選択するのが、基本的な使い方となるでしょう。

使い勝手としては、試合の振り返りとして、ピッチの使い方、たとえばサイドを使って攻める、といった戦略が思い通りできていたか、といった検証に利用できそうです。
また、時短帯を指定できるため、試合の途中でゲームプランを変えた際に、きちんと切替ができていたか、といった使い方もできそうです。

総括

注目されていたVeoの分析サービスですが、1台のカメラで撮影した映像から、これだけの分析ができるのか、という意味で、単純に驚かされます。
また、プロサッカーの試合中継で見るような分析映像が、自分たちのプレーでも見ることができるといことは、単純に面白く、楽しくなります。
ただ、有料オプションとして提供されるサービスとしては、満足できる人は限られるかもしれません。
特に、子どもたちがプレーするグラブチームなどでは、ただ面白いだけでは許されず、チーム内での指導に効果的に活用することが求められるでしょう。そのために、指導者のスキルアップも求められるのかもしれません。
Veoには、まだ公開されていない機能を完成させ、β版から正式版への一刻も早い公開を期待したいところです。