Veo Camera ユーザーレビューブログ

Veo Cam 2レビュー【ライブ配信の活用法】

Veo Camの新モデル、Veo Cam 2のレビューを行っていきます。

前回のレビューで、インターネット回線さえ用意できればライブ配信が行えることを確認しましたので、この活用法を考えてみることにします。

ライブ配信映像の編集

ライブ配信映像は、Veoが提供するVeo Liveアプリで観ることができます。

何もしなければ、視聴者が観ることができる映像は上の画像のようなものになります。
ライブ配信開始時に、自分のチームと相手チームの名前を入力しますので、それが画面左上に表示されているだけで、他の情報はありません。せめて、時間経過や得点経過くらいは観ている人に伝えたいところです。

Veo Liveアプリに編集権限のあるアカウントでログインすると、Producer Panelを使うことができます。

画面右上に表示されるProducer Panelをタップすると、シンプルなメニューが表示されます。

Clockをタップすると、Startボタンが表示されます。

キックオフに合わせて、Startボタンをタップすると、試合の経過時間が表示されるようになります。

経過時間が表示されると、Producer PanelのClockの中のStartボタンは、Stopボタンに変わります。
試合が終わったところで、Stopボタンをタップすれば、経過時間表示も止まります。

前後半ある試合などは、後半スタート時に、Startボタンの上の時間表示の数字を上下の矢印で修正し、0分や45分など、好きな時間表示から始めることができます。

得点が入ったら、メニューのScoreから得点したサイドの数字を上下の矢印で修正することで、得点経過を更新することができます。

なお、ライブ配信にはタイムラグがあります。
グラウンドのインターネット環境にもよると考えられますが、実際に試してみたところでは、約90秒の遅れがありました。
言い方を変えれば、目の前で得点が入ってから、Veo Liveアプリで得点経過を更新する作業までには、十分に余裕があるともいえます。

また、ライブ配信映像は、ライブ配信が終了した後もVeo Liveアプリ上で観ることができ、ここまで紹介した編集作業を行うこともできます。
なにか作業に誤りがあったとしても、あとから修正することも可能ということになります。

ライブ配信映像はどういうものか

ライブ配信映像は、Veo Liveアプリの中で試合後も観られることをご紹介しました。
その映像は、Veo Cam 2をインターネット回線に接続してアップロードした通常の映像と異なるのでしょうか。

上の画像が、アップロードしてクラウド上で編集、分析されたVeo Editorの映像、下の画像が、Veo Liveアプリの映像です。
同じ試合のほぼ同じ瞬間を捉えたものです。
経過時間表示にズレがあるのはご愛敬ですが、映像自体は同じ画角(角度と大きさ=ズーム)であることが分かります。

この瞬間だけでなく、試合を通して並べて観ましたが、明らかに異なる画角になることはありませんでした。

ライブ配信の映像は、Veo Cam 2の中で生成され、インターネット回線を通じてアップロードされていると考えられます。
約90秒とはいえ、通常のクラウド上でのAIによる映像編集の時間に比べれば、ほんのわずかなタイムラグで、クラウド上のAIによる作業と同等の映像をカメラ内で作り出しているとすれば、驚くべきことです。

もっとも、Veo Liveアプリの映像が、ライブ配信時の映像という確証はありません。
ライブ配信時の映像を録画していたわけではなく、レビューに当たって見直しているからです。
もしかすると、Veo Cam 2からアップロードして通常のクラウド上でのAIによる映像編集が完了した時点で、その映像に差し替わっている可能性もあります。

いずれにせよ、チームで分析に利用しているものと同等の映像が、Veo Liveアプリ上で提供されているということになります。

ライブ配信映像を試合にフィードバックできるか

ライブ配信ができると聞けば、まずは試合に活かしたいと考えるのは自然なことです。

サッカーであれば、ハーフタイムに前半の試合映像を使って選手に指示を与えることは、海外を始めとするプロレベルでは行われており、同様のことができるならば、試したいところです。

結論から言えば、現状のVeoの仕組みでは、かなり難しいと言わざるを得ません。

まず最初の章で紹介したように、ライブ映像に自動的にタグが付けられることはありません。
得点シーンや失点シーン、そのほか選手に指示したいシーンがあれば、別の方法で記録しておく必要があります。

また、ライブ映像の再生環境も課題になるでしょう。
映像はクラウド上にあるわけですから、グラウンドのインターネット環境によっては、必要となるシーンを探し出して選手に見せることだけでもひと苦労となります。

総じてVeo Liveアプリの操作に対する反応は遅く、実際にグラウンドでは、上の画像のようにライブ映像の再生が切れてしまうこともありました。

ハーフタイムに試合映像を活用したいのであれば、オフラインで操作のできる、通常のビデオカメラかスマートフォンで撮影したものの方が使い勝手は良さそうです。

視聴用としてのライブ配信映像

ライブ配信映像を、チーム分析とは別に視聴用として提供することは考えられそうです。
Veo Liveアプリには、試合後も映像が残っていますので、中継時間に都合が悪くても、好きな時間にチームの試合を視聴できます。

試合映像を提供したい相手はチームによって異なります。
育成年代であれば父兄、学校であればOBや学校関係者、クラブチームならスポンサーやサポーターなどになるでしょう。

これらチーム関係者を、チーム分析のプラットフォームとして進化しつつある、Veo Editorに登録してもらうことは差し支えありそうですし、その管理も面倒になります。

2022年12月のアップデートで、Veo Liveアプリからチーム(クラブ)のプライバシー設定が可能になりました。⇒記事
これにより、チームのポリシーに従い、ある程度クローズドな形でもチーム関係者をフォロワーとして招待できるようになっています。

また、このレビューを書いている最中にも、ライブ配信映像の編集に新たに「Moments」という機能が追加されました。⇒記事

この機能は、得点(失点)シーン以外のハイライトを簡単に追加できるもので、Veoとしても、Veo Live上の試合映像を、より視聴用の映像として見やすいものにしていこうという意図が読み取れます。

問題はコストでしょう。
ライブ配信にはVeoのオプション料金はもちろん、通信料金も追加で発生します。
また、ここまでレビューしてきたように、ライブ配信は多少なりとも手間がかかることであり、作業コストも発生します。

そうしたコストを踏まえてなお、チーム関係者に視聴用としてライブ配信映像を提供する価値があるか、という点で検討されるべきでしょう。

総括

ライブ配信機能は、Veo Cam 2の最大の特長ですが、残念ながら現状では積極的に活用できるケースは限られていると言わざるを得ません。

SIMカードが使えないこともさることながら、ライブ配信を利用する動機付け、インセンティブが足りないという印象です。

もっとも、Veoでは、ライブ配信映像がスポーツファンにとって、とても魅力的なコンテンツであるという考えの元、課金・決済機能を搭載し、視聴者から料金を徴収し、配信しているチーム側に収益を還元する、マネタイズの計画を公にしています。

 

この計画が実現すれば、誰にいくらで提供するのかという新しい課題が生まれるとしても、ライブ配信に対する大きなインセンティブになることでしょう。

現状では、そうした期待を持ちながら、ライブ配信機能の改善や進歩を見守っていくステージにあるものと考えています。